今回の英作文のメインテーマは「なけなしの金」です。
文法を含めて詳しく解説していきます。
目次
この記事の流れ
この記事ではまず英作文のお題を1つ提示します。
次に間違えやすいポイントを盛り込んだ「よくある間違い例」をお示しし,それを添削していきます。
最後に添削を踏まえた英訳例をお示しします。
注:英作文や英文ライティングの正解は1つではありませんので,英訳例はあくまで1例に過ぎないと考えてください。
英訳例を見る前にぜひご自分でも英作文にトライしてみてください!
今回のお題
「なけなしの金を使い切ってもう一文無しだ」
解答例(たたき台)
Because I spent all of my precious money, I don't have any money.
添削と解説
「解答例(たたき台)」の改善ポイントをそれぞれ解説します。
Because
「使い切って」を「使い切ったので」と読み替えて because を使っています。とりあえず自分がわかるフィールドに持ち込むのは Good です。because で何の問題もありません。
といって終わらないところがゴリさんのすごいところ。
ハードル上げないで~!
「~して,...になった」の「~して」という部分を分詞構文で表現することができます。
Having spent ..... とすると,
「使い切って」の感じが出ます。
文法的には過去の出来事を分詞構文で表すときは
Having + 過去分詞
と完了形の形にします。
spent all of my precious money-「なけなしの金」
まず,spent all は直訳は「全部使った」で「使い切った」を表現できています。
でも,もっとぴったりな表現があるんだよね,きっと。
先に言われてしまいましたが,もっとぴったりな表現があります。それは,
use up
この表現で注目すべきは up です。
up は「上へ」という意味が基本ですが,
eat up(全部食べる,食べ尽くす)
drink up(飲み干す)
のように「~し尽くす」や,
Time is up.(時間切れ)
のように「終わり」も表します。
なんで「上へ」の up が「~し尽くす」とか「終わり」の意味を持つの?
(小声)もう!せっかくシレっと通り過ぎようと思ったのに。
本当のところはわかりませんので推測というか「こう理解したら覚えやすい」という考え方をご紹介します。
eat up は全部の料理をお皿から「上にあげる」状態を示し,その状態とはすなわち「食べ尽くした」状態なので up は「~し尽くす」になるんじゃないかと。
その「~し尽くす」ということから Time is up. の「終わり」の意味も出てくるんじゃないかと。
というわけで spent all of をブラッシュアップして,
spent all of → used up
とします。
my precious money
よ~く考えよう,お金は大事だよ~♫
確かに my precious money は「大事なお金」になってしまっています。
「なけなし」=「とても少ない」の意味が表現されていません。
この「なけなしの金」には定番の表現があります。
what little money I have
これで決まりです。
知らないと絶対に出てこない表現だと思いますのでこの機会に覚えちゃいましょう!
ねえ,「覚えちゃいましょう!」は良いけど,何でこれが「なけなしの金」になるのかわからないので説明よろしく!
では順を追って説明します。
1. little は不可算名詞の money を修飾しています。
「a」のつく a little は「少しある」ことを意味しますが,「a」のつかない little は「ほとんどない」という意味になります。
2. I have は接触節(関係代名詞の省略)で money を修飾していますので,「私が持っているお金(有り金)」です。
3. 問題の what です。これは「関係形容詞」と呼ばれているもので,
what = all the ~ (that) ...
となんとも複雑な役割を果たします。
これを what little money I have に当てはめると,
all the little money (that) I have
となり,「ほとんどないけど有り金全部」→「なけなしの金」の意味になるわけです。
ゼブラくん,わかったかな?
うん,なんとなく。でも一つ疑問があるのよね。なんか what little money I have ってほら,あれ,「感嘆文」じゃない?
難しい質問をまあさらっとしてくれちゃうのね(T_T)
結論からいうとこれは「感嘆文」ではありません。
感嘆文であれば一つの文として成立しているはずで,それ自体が「句(複数の単語のまとまり)」として違う文の目的語になることはないからです。
my precious moneyは「正確」でないかもしれませんが,
Nice Try!
と言い切れます。
言葉,特に外国語の場合は All or Nothing(全か無か)の世界ではなく,伝えたいことをできる限り伝えようとする気持ちも大事だと思うからです。
I don't have any money.
これも悪くはありません。「全然お金が無い」ことを表現できています。
これに left をつけて,
I don't have any money left
とすれば「使ってしまって残っていない」ことを表現できます。
ただ「英語は繰り返しを嫌う」ので前半で使った money をできれば使いたくないところ。
そこで「無一文の」を意味する,
broke(break の過去形の broke ですが形容詞扱い)や penniless(penny[1セント]がless[ない]で一文無し)
を使って,
I'm broke/penniless
とすると money を使わずに済みます。
しかし I don't have any money を思いついたらこれでOK。
いつもいつもきれいな表現をする必要はありません。
英訳例
Having used up what little money I had, I'm penniless.
あとがき
知らない表現に出会って覚えて,必要な場面で使う。これが一番なのですが,単語を知らなくてもともかく「言いたいことを伝える」ということが大事じゃないかと思うのです。
「できる!英作文」のシリーズでは添削という形で間違いを修正していますが,それは学びの場だからですので,実践の場では単語を知らなくても「そんなの関係ねぇ」くらいの気持ちで言いたいことを表現してみましょう。
最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡