副詞の訳し方:述語として訳すテクニック



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今回は副詞の訳し方の工夫について考えていくことにします!

 

目次

 

お題

お題としてScientific American 6月号の記事から1文を引用させてもらいます。

 

But some people might reasonably think they’re also kind of gross.

 

reasonably の訳し方

訳に入る前に前提となる情報をご紹介しておきます。

これは「fungus(真菌)」の話で they = 真菌です。

そしてこの文の前に「真菌の形ってかっこいいよね」的な文があります。

 

英文解釈

各パーツに分解してそれぞれ解説していきます!

 

Some ~

これはよく Some ~,and others ~というパターンで使われるもので,「~な人もいれば,~な人もいる」と訳されます。

Some people think ~は「~と考える人もいる」という意味。

 

might

might は時制の一致で may の過去形として使われる場合もありますが,この場合は仮定法過去として「現在の推量」を表しています。

 

may は「~かもしれない」ですが,might は may よりも可能性が低いと思っています

「思っています」ってどういうこと?

ごめん,言葉足らずだったね。

 

助動詞自体が主観を表現します。

つまり may であれば発言者が「~かもしれない」と思っていることを表してるということになります。

話を戻すと「可能性が低いと思っている」の意味は発言者が主観としてそう思っているというわけです。

 

いずれにしても「~かもしれない」よりも可能性が低いと思っているので「ひょっとしたら~かもしれない」くらいのニュアンスになります。

 

kind of gross

メインディッシュの reasonably は最後のお楽しみでとっておきます。

ショートケーキのイチゴを最後に食べるタイプと見た。

ご名答。

 

a kind of で(~の一種)を表しますが a がない kind of は「ちょっと」とか「多少」という意味で直後の単語の語感を少し和らげます。

He is kind of shy → 彼はちょっとシャイだ。

I am kind of tired → ちょっと疲れてる。

 

gross は「気持ち悪い」なので kind of gross では「ちょっと気持ち悪い」となります。

 

全体

以上を踏まえてreasonably はそのままで全体を訳すと,

But some people might reasonably think they’re also kind of gross.

=「もしかすると真菌を少々気持ち悪いとも(reasonablyに)考える人もいるかもしれない。」

 

reasonably

さて本題の reasonably です。

辞書によると「理にかなって」「正当に」「適度に」「合理的に」[妥当に」などの意味があります。

この文では「妥当に」が最も当てはまりそうなのでこれをチョイスしてみます。

妥当に考える人もいるかもしれない。」

うん,意味わからない。

 

このように副詞をそのまま副詞として訳すとちょっとおかしな感じになることがあります。そこで「訳」ではなくて「意味」を考えることが大切です。

この reasonably が何を言いたいかが問題で,結局のところこれは発言者が「気持ち悪いと思う人がいても」そう考えるのも reasonable だということを表しています。

 

ここで満を持して「副詞を述語のように訳す」という裏技(テクニック)の登場です。

「そう考えるのも reasonable」なのですからそのように訳せば良いわけです。

 

「もしかすると真菌を少々気持ち悪いとも妥当に考える人もいるかもしれない。」

              ↓

「もしかすると真菌を少々気持ち悪いとも考える人もいるかもしれないがそれも妥当だ。」

              ↓ 

「もしかすると真菌を少々気持ち悪いとも考える人もいるかもしれないがそれももっともだ。」 (妥当=もっとも)

 

 
この「副詞を述語のように訳す」テクニックは他でも使えます。
たとえば,
He successfully defended the title の successfully をそのまま副詞として訳すと
「彼は成功裏に(うまく)タイトルを防衛した」となりますが日本語として少し不自然です。

そこで述語のように訳してみます。
「彼はタイトル防衛に成功した」
この場合 defended という動詞も品詞の枠を超えて名詞のように訳しています。

この例のように日本語と英語の構造や好まれる言い回しが違うため「逐語訳」よりも「意味」を重視した訳し方の方がしっくりくる場合もあります。
そのテクニックとして副詞に限らず「品詞変換」が利用できる場合があります。

 

 

今日のポイント! ○ 訳すときの「品詞変換」

 

あとがき

超久々に Scientific American を購読(subscribe)することにしました。ネットでアカウントを作ってディスカウントメールが来るのを待ってから申し込むととてもお得な価格に。解約(購読終了)がメールでなく解約ボタン的なものでできれば最高がなのですが...

最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡