今回も On the origin of species よりの出題です。このシリーズとしては6回目になります。
そして第6回のテーマは
1. continual と continuous の違い
2. refer to A as B
3. such as
の3つです。では本題に入っていきましょう!
目次
問題
下記(1)を訳してください(今回のお題は(1)のみです)。できれば頭の中でなく紙などに実際に書いてみてください
ヒント:naturalist→博物学者、variation→変異*
*日本遺伝学会においてmutation と区別するため variation に”多様性”または”変動”という訳語を当てる云々といった議論があったようですがここではそんなことは一切気にせず「変異」を使ってください^^
(1) Naturalists continually refer to external conditions, such as climate, food, etc., as the only possible cause of variation.
(2) In one limited sense, as we shall hereafter see, this may be true; but it is preposterous to attribute to mere external conditions, the structure, for instance, of the woodpecker, with its feet, tail, beak, and tongue, so admirably adapted to catch insects under the bark of trees.
(3) In the case of the mistletoe, which draws its nourishment from certain trees, which has seeds that must be transported by certain birds, and which has flowers with separate sexes absolutely requiring the agency of certain insects to bring pollen from one flower to the other, it is equally preposterous to account for the structure of this parasite, with its relations to several distinct organic beings, by the effects of external conditions, or of habit, or of the volition of the plant itself.
On the origin of species . Kindle 版.
解答例
はじめに解答例をお示しします。次のセクション以降でどうしてこういう訳になるのかも含めて詳しく解説します。
Naturalists continually refer to external conditions, such as climate, food, etc., as the only possible cause of variation.
→ 博物学者はしきりに気候や食べ物といった外的条件を唯一考えられる変異の要因として引き合いに出す。
文の文法解析
さて、なぜ上の訳例になるのかを解き明かすためにまず文型を確認します。
Naturalists continually refer to external conditions, such as climate, food, etc., as the only possible cause of variation.
問題は refer to 。これはいわゆる句動詞(群動詞)で動詞+前置詞が一塊で他動詞の役割をしています。Naturalists refer でSVの第1文型になるという考え方もあるのかもしれませんが、ここでは refer to を他動詞とみなして次のように解釈します。
*continually は副詞、
*such as はこれも一塊で前置詞、
*as the only ...の as も前置詞
これら3つは5文型を作る要素にならない M です(M: modifier [修飾語句])。
よってこの文は長いですが核となるのは
Naturalists .... refer to external conditions
(博物学者は外的条件を refer to する)
だけということになります。
refer to するって何さ?
あっ、これはもう少し後で1つのポイントとして説明するから待ってて。
文の要素(S、V、O、C)について
文の要素(S、V、O、C)としては名詞、動詞、形容詞(またはこれらに相当する句・節)があり、SVOCそれぞれの要素になれる品詞も決まっていて次の通りとなっています。
S(主語):名詞(句・節を含む)
V(動詞):動詞
O(目的語):名詞(句・節を含む)
C(補語):名詞(句・節を含む)、形容詞(句を含む)
*名詞は動名詞も含みます。
今回のポイント
次に上の訳を導く上で重要となる以下の3つのポイントについてそれぞれ詳しくみていくことにしましょう。
1. continual vs. continuous
2. refer to A as B
3. such as
1. continual vs. continuous
まずは continual と continuous の違いから。
スペルからして continue に関係ありそうだよね。
その通りで continual も continuous も両方 continue(継続する)に関係しています。continual には continuous と同じような意味もあり interchangeable(入れ替え可)な場合もあるようですが、明確に異なる意味もあります。
continual : (一定期間に)繰り返し起きる / 頻繁に
continuous: 途切れることなく / 連続の
Combridge Dictionary(https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/continual)によると continual はただ繰り返し起きるだけではないようです。
---引用ここから---
continual = happening repeatedly, usually in an annoying or not convenient way
---引用ここまで---
すなわち continual は”嫌な感じがする”というニュアンスが含まれることが多いということになります。
(ここのところ雨降りの日が多いなあ)
It's been raining continuously.
(ここのところ雨降りの日が続くなあ)
さて、本題に戻って Naturalists continually refer to ですが、筆者のダーウィンがの文で示されるNaturalists の行為にあまり良い印象を受けていないと考えられます(次の文で反論していますので)。
そこで解答例では continually を「しきりに」とすることで悪い印象を持っているというニュアンスを出しています。
2. refer to A as B
お待たせしました、やっと refer to です^^
refer to にはさまざまな意味があります。
(彼は僕を一番の親友と呼んでくれる)
2. Please refer to page 10.
(10ページを参照してください/見てください)
3. The GP referred the patient to a cardiologist.
(その医師[一般医]は患者を心臓専門医に紹介した)
他にもありますが、とりあえずこんな感じです。このうち今回の refer to external conditions .... as の用法に近いのは1番です。
as があるの1番だけだしね。
おっ、おう^^
refer to A as B となっている場合 refer to は「~に言及する」、as は「~として」というのが基本です。そうすると He refers to me as his best friend は「彼は僕を一番の親友として言及する」 ということになりますから少しこなれさせると上の訳が出てくるわけです。
本題の refer to external conditions .... as も同じことで「~として外的条件に言及する」となります。後は訳語選択の問題で解答例では「~として引き合いに出す」としましたが、”言及する”と意味合いは同じです。
3. such as
such as が出てきたらその直前の名詞の具体例が続く合図です。今回の文では、
(external conditions), such as climate, food, etc.
と such as の後にclimate, food, etc.=「気候や食べ物など」という具体例が挙げられています。そしてこれは直前の external conditions=「外的条件」の具体例ということです。
such as は「~など」と訳します。
★ちょっと寄り道
external という単語の意味を知らなかったとしても接頭辞の ex-を知っているとなんとなく想像することができるかもしれません。
ex- の意味は「 外/外へ」
ですからこれだけで external conditions は大まかに「外・条件」と分かり、ときには「外的条件」がひらめくこともあるかもしれませんよね。
反対に「中/中へ」を表す接頭辞は in-。
external(外側の)⇔ internal(内側の/内部の)
exclude(除外する)⇔ include(含む)
など ex- と in-で対応している単語もあります。
また、ex- の「-(ハイフン)」が書かれている場合は多くは「元」という意味(”外へ出た”と考えるとイメージしやすいでしょうか)
ex-smoker → 元喫煙者(禁煙した人)
ex-wife → 元妻
ex-president → 元社長
残りの部分
the only possible cause of variation は possible が少し訳しにくいですが「考えられる」とすればなんとか切り抜けられます。その他の単語は以下の通りです。
only = 唯一の
possible = 考えられる(想定される)→可能性があることを示す
cause = 要因・原因(e.g. cause and effect: 原因と結果)
variation = 変異
統合
ここまでのポイントをまとめてみます。
1. 文型はSVO
2-1. cotinual:繰り返し起きる → しきりに
2-2. refer to A as B:BとしてAを引き合いに出す
2-3. such as:~など
これらのポイントを原文に落とし込んでみると次にようになります。
Naturalists continually refer to external conditions, such as climate, food, etc., as the only possible cause of variation.
Naturalist continually(=博物学者はしきりに)
refer to external conditions(=外的条件を引き合いに出す)
such as(具体例の予告);climate, food etc.(気候や食べ物などの)
as the only possible cause of variation(唯一考えられる変異の要因として)
ここまでくればあとはまとめるだけ!
Naturalists continually refer to external conditions, such as climate, food, etc., as the only possible cause of variation.
→「博物学者はしきりに気候や食べ物といった外的条件を唯一考えられる変異の要因として引き合いに出す。」
あとがき
いかがだったでしょうか?
このブログでは”英語は英語のまま理解するのが吉”ということをお伝えしているのですが、難しい文章だと英語で読んだだけでは”分かったつもり”になっていることがあります。実際に訳してみると意外に訳せなかったりするのです(意味は分かるが”こなれた”日本語にできないだけということもありますが)。
ですから自分の理解度を確認するという意味で英文解釈も決して無駄ではないと思っています。そして頭の中ではなく実際に訳を書いてみることで意外な盲点が発見できたりするのでお勧めです。
最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡