否定+比較級=最上級 & 句動詞の関係代名詞 [実践英文解釈]



今回も On the Origin of Species からの引用です。英文解釈のために書かれたのかい、と思うほどの凝りに凝ったセンテンス!

さあ、実践英文解釈の始まり始まり。

 

No one can feel more sensible than I do of the necessity of hereafter publishing in detail all the facts, with references, on which my conclusions have been grounded.

On the origin of species より

 

否定+比較級=最上級 & 句動詞の関係代名詞

 

 

目次

 

英文のポイント

次の(1)~(3)のポイントについて後半で解説します!

(1) No one can feel more sensible than I do (2) of the necessity of hereafter publishing in detail (3) all the facts, with references, on which my conclusions have been grounded.

 

全文訳

今後、私の結論の根拠となっているすべての事実を参考文献も併せて詳細に公表する必要性があることを誰よりも強く自覚している。

 

単語

ポイント解説の前にまず単語を確認しておきましょう。

 

sensible = 分別のある、認識して

feel sensible of で「~の認識があると感じる(思う)」とメタ認知っぽい表現ですが、訳ではこれを「自覚する」としています。 

 

hereafter = 今後

堅い文書では hereafter called XXX(以下,XXX という)のような使われ方もします。

 

reference = 参考文献

 

各ポイントの解説

ポイント(1):No one can feel more sensible than I do

ここのポイントは次の2つです。

No one can feel  more sensible than I do の比較級を使った最上級表現

☆ than I do

 

これらについて少し詳しくみてみましょう。

 

☆ No one can feel more sensible than I do 

否定語と比較級(より~だ)の組み合わせで最上級(最も~だ)を表現することができます。

 

No one can feel more sensible than I do は「私が自覚するより強く自覚することは誰にもできない」です。これは結局「私の自覚を誰も越えてこない」ということを表しています。

 

なるほどね。それはそうと、なんで「誰よりも強く自覚している」っていう訳になるのかがすっきりしないんだよね。

 

この点について段階を追って確認していきましょう。

  逐語訳(単語をすべてそのまま置き換えた場合)

「私が感じるよりも強く認識していることを感じることは誰にもできない」

ダブっている言葉(感じる)を省略

「私よりも強く認識していることを感じることは誰にもできない」

「認識していることを感じる」→「自覚する」

「私よりも強く自覚することは誰にもできない」

比較級→最上級!

「私が誰よりも強く自覚している」

「私が」っていならくね?

「誰よりも強く自覚している」

 

ちょっと待った!

まだ何か?

比較級→最上級のところで can「できる」が突然消えてるんだけど!

 

これは意味を考えるとわかります。

「私よりも強く自覚することは誰にもできない」は「自覚」に関して、

私 > 他の人全部

ということを表しており、これを日本語で表すと「(私が)誰よりも強く自覚している」となります。

 

☆ than I do 

今回のセンテンスでは I の後に動詞が続くため必ず than I do としなければなりません。

一方、

He is taller than me

のように動詞が続かない場合には目的格の me としているのをよく見ます。

*というかほぼ taller than I としているのをみませんが、テストなどでは教科書や参考書に従ってください。

 

 
than I do の場合 than は接続詞、
than me の場合 than は前置詞
と解釈できます。

 

ポイント(2):of the necessity

No one can feel more sensible than I do of the necessity of 

とここは sensible of の間に than I do が入った形となっています。

 

まさかとは思うけど、このポイントはこれだけ?

うん、これだけ(小声)

 

ポイント3:all the facts, with references, on which my conclusions have been grounded

このポイント3で注目するのは次の2点です。

☆ which の先行詞

☆ on which

 

☆ which の先行詞

関係代名詞の which には「制限用法」と「非制限用法」があります。これについては以前の記事でご紹介しました。


書き言葉の場合、非制限用法では which の前(今回の on which のような場合には前置詞の前)にコンマ(、)が入ります。そして今回のセンテンスにも on which の前にコンマがあります。

the necessity of hereafter publishing in detail all the facts, with references, on which my conclusions have been grounded.

 

じゃあ、今回のは非制限用法だね。

ところがどっこい。

 

問題は with references です。よく見るとこれの前にもコンマがあります。実はこれ「with references が挿入されているよ」ということを示すコンマです。挿入句の前後にはコンマが入るので特に関係代名詞の非制限用法との区別に注意が必要です。

 

そして今回は非制限用法を表すコンマではなく with references の挿入を表すコンマが前後についている、というのが正解でした。

 

それならば非制限用法ではなく制限用法ということになります。そして先行詞は which より前にある名詞のはずです。

the necessity of hereafter publishing in detail all the facts, with references, on which my conclusions have been grounded.

 

赤で示した名詞(動名詞を含む)のどれかが先行詞ということになります。

ground は動詞で「~根拠を与える」という意味がありますので、my conclusions have been groundedの部分は「私の結論が根拠を与えられた」→「私の結論の根拠となった」という意味になります。

そしてこの on which 以下が修飾する可能性があるのは「必要性」、「公表すること」、「すべての事実」、「参考文献」ですが「参考文献 with references」は挿入句ですので仮にこれを修飾しているとすると on の前のコンマは不要のはずですので候補から消えます。後は意味から考えて「すべての事実」しかない、という結論になります。

 

 
これが会話の中だとすると、with references の前後を少し区切るため判別ができます。

 

☆ on which 

もう一つ大事な点はこの on which という表現そのものです。

 

先行詞は all the facts でしたのでこの箇所を元の語順に戻すと、

my conclusions have been grounded on all the facts

となります。

 

be gounded on ~ で「~を根拠とする」という句動詞なのですが、これに関係代名詞が絡んでくる場合には2つの方法があります。

 

1. on which と on を前に出す(フォーマル)

2. which my conclusions have been ground on と元の語順を使う(ややカジュアル)

 

今回の文では on which となっているのでさすが「種の起源」ともなるとフォーマルな文体を使うんだなと。

 

また on which の which の代わりに that を使って on that とすることはできないので気をつけてください。

○ on which my conclusions have been grounded

× on that my conclusions have been grounded

 

まとめ

最後に今回取り上げたポイントの確認用にもう一度今回の全文を掲載しておきます。

 

No one can feel more sensible than I do of the necessity of hereafter publishing in detail all the facts, with references, on which my conclusions have been grounded.

今後、私の結論の根拠となっているすべての事実を参考文献も併せて詳細に公表する必要性があることを誰よりも強く自覚している。

 

あとがき

自分で書けと言われてもなかなか書けそうにないなんとも格調の高いセンテンスでした。

最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡