「れる/られる」="受動態の出番"ではない件



 

目次

 

今回のテーマ

今回は「れる/られる≠受動態」というテーマでお送りします。

受動態を訳すときは、たとえば I was praised →「褒められた」のように訳すのが定石です。
一方”れる/られる”とあるからといって必ずしも受動態にならないよというのがこの記事のポイントです。

では早速、本題に入って行きましょう!

 

「れる/られる」

「れる/られる」が必ずしも受動態とならないということを具体例で検証するための問題をご用意しました。さて、次のセクションの問題のうち受動態を使うのがふさわしいのどれでしょうか?頭の体操と思ってちょっと考えてみてください。

 

ゴリさんはちょっとひねくれ者だから1つも無いなんてこともありそう。

大丈夫、ちゃんとあるよ。いくつかは内緒(ひねくれ者だからね^^)

 

例題

次の文を英語にしてください。

1. この時期にはたくさんのホタルが見られますよ
2. この写真をみると昔のことが思い出される
3. 先生が入って来られた
4. 居眠りしているところを見られた

 

英訳例

では早速、英訳例を見てみましょう。

1. In this season, you can see a lot of fireflyies.
2. This photo reminds me of the past
3. The teacher has come in.
4. I was seen napping. 

 

実は上の4つの問題は日本語の「れる/られる」の4つの意味に対応しています。その4つとは、

1. 可能
2. 自発
3. 尊敬
4. 受け身

です(らしいです- 日本語の文法は詳しくないもので^^)。

1番から3番の考え方はだいたいこんな感じです。

1番は can で可能を表現しています。

2番の自発は「意志ではなく感情や感覚、思いが勝手に出てくる」的なことらしいのですが、ここでは remind(思い出させる)を使って表現しました。

3番の「られた」は尊敬ということなのですが、英語ではそこまではっきりと表現せず単に「入って来た」として問題ありません。

4番だけが受け身(受動態:ここからは単に受動態と表現します)だったのですが、ここで英語の受動態について要点をおさらいしておきましょう。

 

受動態の要点

ここまでで受動態の要点は「れる/られる」でないことは分かりました。

その本質は、

1. 受動態の形

2. 受動態の主語となるのは?

3. 動作主はどこに?

の3つの質問に答えることで導き出されます。これらを探るために次の能動態の文を受動態にしてみることにします。

Tom saw her in the park.

この文を受動態にすると、

She was seen by Tom in the park.

となります。ここから分かることは、

 

saw → was seen だよね。

正解!これが1番の受動態の形の答えで、一般に be + 過去分詞 という形になります。

 

次に2番の「受動態の主語となるのは?」についてですが、受動態の文の主語を見てください。受動態の主語(she)は能動態の動詞(saw)の目的語(her)となっています。
受動態の主語能動態の動詞の目的語

というのがこの問いの答えになります。

 

 
ちょっと捕捉1

能動態の動詞の目的語として代名詞が置かれているときは”目的格”となっています(her, him, me, us, them)。
これを受動態の主語とするには”主格”にする必要があります。
*her→she, him→he, me→I, us→we, them→they

ただし、it は目的格と主格が同じ形ですから当然そのまま it、普通名詞(camera, carなど)や固有名詞(Tom, Maryなど)は変化しないのでちょっと楽です^^

 

実は能動態の動詞の目的語が受動態の主語となるということには大切なインプリケーションがあって、それは「自動詞は受動態にならない」ということ(目的語を取らないというのが自動詞の定義)。
この点に関しては次の文を問題を考えてみます。

「私は2時間待たされた」

これを”待たされた”のだからといって I was waited とするのは実は間違い。なぜなら wait が自動詞だからです。

「人を待たせる」のは keep someone waiting なので

I was kept waiting for 2 hours(能動態:Someone kept me waiting for 2 hours)

とするのが正解です。

 

 
ちょっと捕捉2

実は wait your turn という他動詞の使い方があるのですが、wait + 人という使い方はないためやはり I was waited は×です。

 

そして最後の「動作主はどこに?」という問いについては能動態の主語(動作主)は by を伴って動詞より後ろに来るというのが答えです。今回の例では by Tom と by を伴って後ろに来ています。

 

 
ちょっと捕捉3

上の説明ではちょっとごまかして 動詞より後ろにくると書きました。それはby 動作主は動詞の直後にくる場合が多いのですが、離れた場所に置かれる場合もあるからです(ただし、動詞よりは後ろ)。
例: I was kept waiting for 2 hours by Tom(トムに2時間待たされた)

また、by 動作主はよく省略されます。
例: I was stunned.

 

まとめ

以上のポイントを整理しておきましょう。

受動態のポイント! ○ 受動態→ be + 過去分詞

○ 能動態の動詞の目的語が受動態の主語になる
 → 自動詞は受動態とならない

○ 能動態の主語(動作主)は by を伴って後ろに(省略されることも多い)

 

最後に問題。
「つまらない記事を読まされた」は受動態でしょうか違うでしょうか?

 

正解は下のあとがきで!

それは僕のセリフ^^

 

あとがき

「つまらない記事を読まされた」は He had me read a worthless article くらいとなり、受動態(I was read ...)とはならないというのが正解でした。

最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡