目次
今回のテーマ
suggest は誤用の多い動詞です。今回は誤用例からこの suggest の正しい用法を学んでいきます。
誤用例
まず誤用例をご覧ください。ただし、1つだけ正しい用法が混ざっています。間違い探しならぬ正解探し!
では問題です。次の5つのうち文法的に正しいものを選び、さらに間違いのある文を正しく直してください。
1. He suggested to go there by car.
2. She suggested me an idea.
3. I suggest him to read the book.
4. I am suggested that I buy a new PC.
5. I suggested him for the job.
解答はこちら。
正解は5番。
間違いの修正は次のセクションで!
適切な用法
1番~4番を修正して文法的に正しい文にしていきます。
1. suggestの目的語(動詞の形)
↓
He suggested going there by car.
(彼は車で行こうと言った)
解説:suggest は to不定詞(名詞的用法)を目的語として取らず、必ず動名詞となります。
2. suggestの目的語(~に)
↓
She suggested an idea to me.
(彼女は僕にあるアイデアを提案した)
解説:suggest は「人」を間接目的語とせず、「~に~を提案」という場合
suggest + 目的語 + to 人
という形を取ります。
文型という点からいうと suggest に「第4文型(SVOO)の形はない」ということになります。
3. suggestで人に提案するとき
↓
I suggest that he (should) read the book.
(僕は彼にその本を読むといいよと言った)
解説:2番で suggest は「人」を間接目的語としないと書きましたが、これにもそれが当てはまります。
それは了解したけど、(should) って何?
ナイス振り!ここが重要なポイントなんだ。
suggest に続く that節の中では S + (should +) 動詞の原形
となります。
また、この should が省略されて S + 動詞の原形となっているパターンもあり、これは仮定法現在と呼ばれます。
この仮定法現在のパターンでは時制の一致は起きません。ですから suggest が過去形でも、
I suggested that he go there by car.
と go の原形が来ます。
さらに、くだけた言い方では suggest that の中で仮定法現在ではなく直説法現在(普通の現在形)が使われる場合もあります。
例:I suggest that he stays here.
4. しつこいようですが...
↓
It is suggested that I buy a new PC.
(「パソコンを新調したら?」と言われている)
解説:元の文を能動態にしてみると、
(Somebody) suggests me that I buy a new PC
となり、本当にしつこいようですが(笑)”suggest は人を目的語として取らない”に抵触します。
正しくは It is suggested that になります(下のちょこっとメモ2参照)。テストなどで「誤りがあれば正せ」的な問題として頻出だろうなと想像します(僕なら出します^^)
もちろん suggest した相手が分かっていれば(たとえば Tom)、
Tom suggests that I buy a new PC.
とすることはできます(me が無いことに注目)。
ちょっと待って。さんざん「suggest は人を目的語に取らない」って言ってるけど、正解だという5番、完全に him が目的語だよね?
バレちゃった?(笑)
5. suggest の目的語として”人”が...
I suggested him for the job.
(その仕事に彼を推薦した)
解説:確かにこれまでさんざん「suggest は人を目的語に取らない」と言ってきたのですが、それは間接目的語を取らないということでした。
SVOOで考えると分かりやすいので次の例文を使って間接目的語について少し詳しくみてみます。
I gave him a present.
この him が間接目的語で、a present は直接目的語です。この英文を日本語にすると「彼にプレゼントをあげた」となります。
具体例から離れて一般的に「~に~を」の「~に」が間接目的語で動作の仕向け先(人/モノ)を表します。
ここで問題の文に戻ります。「彼を推薦した」というのがミソでこの”彼”は直接目的語です。言い換えると him は”動作の仕向け先”ではなくいわば”動作の対象”になっています(gave him a present でいう a present と同じポジション)。
よってこの用法が「suggest は人を目的語に取らない」の例外というのではなく、これまでの説明が少し舌足らずであったということです。
じゃあ、正しくはどうなるの?
正しくはこうなります!
修正版:「suggest は人を間接目的語として取らない」
とはいえ、基本的には suggest + 人 となるのはこの suggest + 人 + for(~を~に[適任者として]推薦する)という場合だけですから「suggest は人を目的語に取らない(ただし suggest + 人 + for は例外 )」と覚えた方が間接目的語なんて言葉を出さずに済むので覚えやすいかもしれません。
直接目的語と間接目的語がごっちゃになって調べてたもんね^^
し~~~!!!
まとめ
今回は誤用例から学ぶ間違えやすい動詞 suggest というテーマでお送りしてきました。4つの誤用例と1つの正しい例文を出しましたが結局のところポイントは次の3つということになります。
I am suggested that が正しくないことなどは2番目から導き出されますので3つに集約できるというわけです。
あとがき
いや~ suggest、奥が深かったですね。今回も記事を書いて自分の勉強にもなりました。
最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡