no sooner A than B はなぜAが過去完了形でBが過去形なのか?



no sooner A than B はなぜAが過去完了形でBが過去形なのか?

no sooner A than B は「AするやいなやBする」という意味で as soon as よりも文語的な表現です。この no sooner A than B の最大問題は過去の場合になぜAが過去完了形になりBが過去形になるのか(例:I no sooner got home than it began to rain)ということ。この記事では次の順序でこの問題について考えます。

解決順序1. no sooner ~ than の”同時性”
2. sooner ~ than であれば当然?!
3. 否定語が入っても時制は不変

 

ほほう、これを僕が解説すると?

いや、いつも通り僕がします^^

 

目次

 

基本形(現在形)

本題に入る前にまず no sooner A than B の基本的な文の形をみておきましょう。

He no sooner comes than he goes.

 Aの位置には comes という動詞、Bの位置には he goes が来ています。

意味は「彼は来るやいなや帰る(来たとたんに帰る)」となります。
また

 

あれ、過去完了がどうのこうのってのはどこ行った?

過去完了が登場するのは過去の話をする場合で現在の場合AもBも現在形でOK。

 

過去の場合にA過去完了形-B過去形となる理由

まず過去の場合の no sooner A than B の例文をもう一度ご覧ください。

I had no sooner got home than it began to rain.
(家に着くやいなや雨が降り出した)

冒頭でも述べたように「Aが過去完了形になりBが過去形」になっていますね。

では冒頭の順序でその理由を考えていきましょう。

 

1. no sooner ~ than の”同時性”

この記事(なぜあの訳になるのか?クジラの公式(構文)の謎を解く! - ルーちゃんの🐾英語教室)で not + 比較級は「比較の反転」なのに対し no + 比較級は「比較自体の否定」といえるのではないかと書きました。その意味は「AはBより~」ということではなく「AがBより~なんてとんでもない」ということです。

no sooner A than B でいうと「AはBより(時間的に)早くない」ではなく(これは not sooner A than B)、「AはBより(時間的に)早いなんてとんでもない → 同時である」ということ(上の記事ではこの同等性を”比較自体の否定”と表現しています)。

 

同時なんだったらやっぱり時制が前後で違うのはおかしくない?

それを解決順序2、3でバッチリ解決します!

 

2. sooner ~ than であれば当然?!

上の例文から no をとってみます。

I had got home sooner than it began to rain.
 [*sooner を移動させて sooner than としています]

英語では過去の過去は過去完了で表現します(例:when I arrived at the station, the train had already left → 「電車が発車した」は「駅に到着(過去)」より前に起きているので過去完了形で表現)。

例文に戻ると前半の「家に着く」と後半の「雨が降り出した」というイベントは、「家に着く(過去)」→「雨が降り出した」という順序で起きています。「雨が降り出した」のは「家に着く(過去)」の過去なので過去完了形になるというわけです。

 

なるほどね。でも今問題なのは no が入った no sooner ~ than だよね?

 

3. 否定語が入っても時制は不変

no が入って no sooner ~ than になった場合ですが、これでも時制が変わることはありません。次の例をご覧ください。

Something is wrong → Nothing is wrong
(何かおかしい) →(何もおかしくない)

Anyone was allowed to use the tool → No one was allowed to use the tool
(その道具は誰でも使用可だった)→(その道具は誰であっても使用不可だった)

It has taken longer than* a week → It has taken no longer than a week
(1週間以上かかった)     →(1週間しかかからなかった)
[*longer than A は Aを含まないため本来は「~より長く」]

いずれもno が入るだけでは時制に変化はありません。 

これは sooner ~ than → no sooner ~ than でも同じことなはずです。 

I had got home sooner than it began to rain.
        ↓
I had no sooner got home than it began to rain.

ゆえに意味の解釈として no sooner A than B に”同時性”があるとしても文法的に Aが過去完了形、Bが過去形となるというわけです。

 

ガッテン、ガッテン。

 

おまけ(倒置について)

今回のテーマからは逸れるのですが、no sooner A than Bといえば倒置に触れないわけにはいかないでしょうということで Let's go!

no sooner A than B において no sooner は「否定の副詞」扱いです。否定の副詞が文頭に出ると倒置が起こります。

I had no sooner got home than it began to rain.
        ↓
No sooner had I got home than it began to rain.

No sooner が文頭に出て倒置が起こるのですが過去完了の倒置は had と主語(S)が入れ替わるため No sooner had I となっています。 

 

じゃあ、現在形の場合は?

現在形の場合には次のようになります。

He no sooner comes than he goes.
        ↓
No sooner does he come than he goes.

I no sooner wake up than I have breakfast.
        ↓
No sooner  do I wake up than I have breakfast.
(僕は起きたら間髪入れずに朝食をとる)

 現在形の場合は does/do が前に出るというのが正解でした。

 

 
なぜわざわざ倒置?

倒置は主に文の内容を強調するために用います。

 

あとがき

例文と違い僕は朝起きたら水を一杯飲んでルーちゃんのお散歩に行きます。朝食はその後です^^

最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡