ルーちゃんの🐾英語教室

ルーちゃんとゆかいな仲間たちがお届けする夢いっぱいの冒険活劇....ではなく,英語学習に役立つ情報をお届けします!

a か the か ー無い袖を振れパート2

今回は翻訳現場でいつも迷う a と the の使い分けについて取り上げようと思います。「無い袖を振る」ということでは前にも「コラム」として記事を書いていますが(その記事はこちら)、今回は特定場面での a と the の使い分けの話としてカテゴリーも「冠詞」としました。

 

 

目次

 

この記事を書こうと思ったきっかけ

医薬翻訳の仕事をしているとたまにこういう文に出くわします。

「男性被験者の女性パートナーが妊娠した場合」

これを何気に、

If the female partner of a male subject becomes pregnant

としてハッと気づいたのです。「これって自分の思い込みが入ってないか?」と。

 

う~ん、話が見えてこないなぁ。具体的にどういうこと?

それはね...

 

a と the で何が違うのか

何が”思い込み”かというと、その答えはなぜ a ではなく the にしたのかという点にあります。 

a female partner of a male subject 

the female partner of a male subject 

では何が違うのか。

これを探るために a と the について基本的なことをおさらいしておきましょう。

 

a とは?

a は不定冠詞と呼ばれていますがこの「不定」というのは言い換えると”定まらない”=「不特定」ということになります。単複でいうと a は単数なので結局 a は次のことを表しているということになります。

a =「不特定の一つ」

 

一方の the はというと、

the とは?

「不特定」だった a と違い the は「特定」を表す定冠詞で、単複両方OKという点でも a とは異なります。

そしてもう一つ the で気を付けたい点は the は「すべて」を含むということ。具体的には There are 5 applies in this bag. The apples are ... といった場合 The apples は「5個のリンゴすべて」を指します。3つだけのときは 3 of the apples で「5個のリンゴうちの3個」ということになります。

the =「特定のもの(単複とも)」かつ「(特定されたもの)すべて」

 

うん、a と the はそうだとして a female partner と the female partner は?

the の「すべて」というのがカギなんだ。

 

つまり、the female partner of a male subject といったときは female partner は単数でかつ the のカテゴリーに入っているため「この一人がすべて」ということになります。言い換えると the female partner と表現するときは「男性被験者の女性パートナーは複数ではなく1人であるはずだ」ということが根底にあるということになります。

逆に a female partner of a male subject は「女性パートナーが複数いるうちの1人」を指すことになり女性パートナーが複数いる(かもしれない)ことを前提にしていることになります。

 

a と the の違いがわかるもう一つの例

別の記事でもご紹介したことがあるのですがもう一つの例としては「月(moon)」が挙げられます。

 

ウサギがお餅をついているあの?

そう、あのお月様。

 

moon は「衛星」という意味の単語ですが、地球の衛星はあのお月様だけということで「特定」を表す the のカテゴリーに入るため the moon =「月」となります。

一方、木星には80個もの衛星があるそうですからたとえば「エウロパ(Europa)は木星の衛星です」を英語にすると、
Europa is a moon of Jupiter.
と、moon は(複数ある中の)不特定の一つを表す a のカテゴリーに入るということになります。

 

無い袖を振れ

「男性被験者の女性パートナー」という言葉には女性パートナーの単複の情報は含まれていません。自分で考えて英語を書く、あるいは話すときであれば自分の中の想定に合わせて a か the か(あるいは複数か)を決めれば良いわけですが、日本語を訳すとなると日本語の文にはそもそも英語にするのに必要な情報が含まれていないということがしばしばあります。

そういうときは「えいやっ」で訳してしまうしかないのですが、それでも a としたときと the としたときの違いを知って訳すのとそうでないのでは全然違うのではないかと思います。

 

あとがき

臨床試験で治験薬を投与するという場面では「その人」に限らず相手が誰であっても妊娠したら教えてもらわないと困る(胎児への移行・影響の有無などを調べないとね)、ということでしょうから a female partner of a male subject の方が適切なのかなという気がしないでもないのですが....

最後まで読んでくれてありがとう!!また,遊びに来てね♡